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【タイ労働裁判判例】(No. 43)持病および長期の病欠と経営悪化による解雇は不当解雇か否か?(特別控訴専門裁判所判決 第1656/2567号)

皆様こんにちは。

本日ご紹介するタイ労働判例は

「持病および長期の病欠と経営悪化による解雇は不当解雇か否か?」

をお送り致します。

(文字数:2,270文字)

概要

本件の中心となる論点は、従業員の健康上の問題(腎不全)や病欠による欠勤、

そして会社の経営悪化を理由とする解雇が、

労働者保護法上の「正当な理由」と認められるか否かという点にあります。

原告である労働者Aは解雇に対し、「不当解雇である」として損害賠償と在職証明書の発行を求めました。

しかし、被告である会社Xは経営悪化および労働者Aの業務遂行能力の著しい低下を理由に、

解雇は正当であると主張しました。

また、控訴審では、中央労働裁判所の判断に対する異議申立てが、

法律上認められた控訴に該当するか否かも争点となりました。

判旨

原告:労働者A(女性、財務担当、月給34,000バーツ)

被告:会社X(分譲マンション開発などを行う企業)

労働者Aと会社Xは、2019年5月17日付で雇用契約を締結し、労働者Aを財務担当職として雇用した。

賃金は月額34,000バーツであり、支払日は毎月末日と定められていた。

ところが、会社Xは2021年2月25日、経済不況による経営悪化を理由として、

同年4月1日をもって労働者Aを解雇する旨通知した。

会社Xは、2019年以降、継続的に損失を被っており、経営改善のため、

コストおよび経費の削減、従業員の業績および勤務態度を考慮した人員削減などの措置を講じていた。

一方、労働者Aは、2020年に13日半の病気休暇を取得し、

2021年2月から3月にかけては26日半の病気休暇を取得していた。

同部署には労働者Aともう1名の財務担当者の2名しか在籍しておらず、

労働者Aの頻繁な欠勤により、同僚の業務負担が増大し、部門全体の業務効率が低下する結果となった。

2021年2月25日、労働者Aは会社Xから解雇通知書を受領し、当該書面に署名を行った。

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