本日ご紹介するタイ労働判例は
個人情報の保護(PDPA)は労働裁判所で争えるか?従業員の個人情報と解雇手続が問題となった事例
をお送り致します。
(文字数:2,041文字)
タイ語の労働裁判の判例を日本語に翻訳し、かつ日本語での解説を入れています。
概要
本件は、試用期間中に解雇された労働者が会社を相手取り、解雇の正当性に加えて、
解雇手続の際に自身の個人情報が不適切に取り扱われたとして、
個人情報保護法(PDPA)に基づく損害賠償を求めた事案です。
労働者は、会社による自身への評価が不当であると主張するとともに、
解雇を通知された際に他の社員が同席していたことについて、
個人情報の不適切な開示に当たるなどと主張しました。
これに対し会社は、労働者の勤務状況などを踏まえて適法に解雇したものであり、
解雇通知に同席した社員についても、人事業務を担当する会社側の関係者であるため、
不適切な第三者への情報開示には当たらないと反論しました。
このため本件では、試用期間中の解雇手続に加え、
雇用関係の中で生じた個人情報の取り扱いをめぐる請求を、
労働裁判所が審理することができるのかが問題となりました。
なお、本件について紹介する2023年7月27日付の判断は、
最高裁判決や通常の控訴審判決ではなく、専門事件控訴裁判所長による「管轄権に関する決定」です。
そのため、本件を読む際には、PDPA違反の有無そのものについての最終的な実体判断と、
どの裁判所が事件を扱うのかという管轄の判断を区別する必要があります。

