タイ国法律情報の会員概要はコチラ

【タイ労働裁判判例】(No. 87)内部通報した営業責任者を解雇できるか?会社利益を守る行為と不当解雇リスク(特別専門控訴裁判所判決第4957/2566号)

皆様こんにちは。  

本日ご紹介するタイ労働判例は         

内部通報した営業責任者を解雇できるか?会社利益を守る行為と不当解雇リスク

をお送り致します。               

(文字数:3,914文字) 

タイ語の労働裁判の判例を日本語に翻訳し、かつ日本語での解説を入れています。

概要

本件は、営業部長として勤務していた労働者が、

部下による高額な海外渡航費・宿泊費の申請について不審点を見つけ、

会社へ調査を求めたことをきっかけに発生した労働紛争です。

当初、会社側も部下が上司の承認を経ずに手続きを進めていたことを認めていましたが、

その後見解を変更し、労働者に対して警告書への署名や責任認容を求めました。

労働者はこれを拒否し、その後解雇されました。

労働者は、問題提起は会社利益を守るための職務行為であるとして不当解雇を主張し、損害賠償を請求しました。

一方、会社側は管理職としての適格性喪失や信頼関係破壊を理由に解雇の正当性を主張し、

双方の主張が鋭く対立しました・。

判旨

原告:労働者A(営業部長)

被告:会社X

関連条文:民商法典 第583条

労働者が故意に職務を怠り、または自己の職務を適法かつ誠実に遂行することに適しない行為をした場合、

使用者は解雇できる。

本条は、労働者に重大な職務違反や信頼関係破壊行為がある場合の解雇根拠を定めた規定である。

関連条文:労働裁判所設置および労働訴訟法 第49条

労働裁判所は不当解雇と認めた場合、復職命令または損害賠償命令を行うことができる。

復職が困難な場合には、勤続年数、年齢、解雇理由、生活上の影響などを考慮し、

損害賠償額を決定する趣旨である。

労働者Aは2018年2月から会社Xで営業部長として勤務していた。

2021年6月、労働者Aは、部下である営業マネージャーが

約209万バーツに及ぶ海外渡航費・宿泊費をCEOへ直接申請していたことを把握した。

しかし、その支出内容は労働者Aへ報告されておらず、承認も得ていなかった。

労働者Aは、不適切支出の可能性を懸念し、経営陣へ調査を求める電子メールを送付した。

当初の社内調査では、部下が労働者Aの承認や相談を経ず旅行会社を選定していたことが確認されていた。

続きを読むにはログインが必要です。会員の概要はこちらをご覧ください。
目次